2016年03月31日
かれらは若い神々によ
「これ以上聞きたくない」ウルはそう言うと、去っていった。
ゴリムがそのまま山の頂上に残ると、地上の獣と空の鳥が食べ物を運んできた。かれは一年以上ものあいだ、その場で待ちつづけた。や
がて神々の造りたもうた奇怪で体裁の悪い生き物がかれの足下にやってきて座り、様子をうかがいはじめた胡菁霖。
ウルの神の心中はおだやかではなかった。ついにかれはゴリムの前に姿をあらわした。「まだ待つつもりか?」
ゴリムは平伏したまま答えた。「おお、神よ。人々は苦しみに打ちのめされながら、ひたすらにあなたを求めているのです」
ウルの神はすぐにその場を去った。だが、ゴリムはさらに一年待ちつづけた。ドラゴンが肉を運び、ユニコーンが水を届けた。やがて、
ウルの神がかれのもとに戻ってきて、訊ねた。
「まだ待つつもりか?」
ゴリムは平伏して、叫んだ。「おお、神よ。あなたの加護がなければ、わが民は滅んでしまうでしょう」またしても、ウルは正直者を残
して去っていった。
名もなく、見たこともないような生き物が食べ物と飲み物を次々と運んでくるうちに、もう一年が過ぎた。ウルの神が高い山にやってき
て、ふたたび命令した。「立て、ゴリムよ」
地面に平伏したまま、ゴリムは嘆願した。「おお、神よ。どうかご慈悲を」
「立つのだ、ゴリム」ウルはそう言うと、天から両腕を伸ばしてゴリムを持ち上げた。「わたしはウル――おまえの神だ。顔を上げてわた
しの前に立ってみろ」
「では、わたしの神になってくださるのですか?」ゴリムは訊ねた。「われわれの神になってくださるのですか胡菁霖?」
「わたしはおまえの神であり、おまえたちの神でもある」とウルは言った。
ゴリムが高みの位置から見下ろしてみると、そこにはかれが忍苦の日々を送っているあいだ親切にめんどうを見てくれた体裁の悪い生き
物たちの姿があった。「この生き物たちはどうです? バシリスクや、ミノタウロスやドラゴンやキマイラやユニコーンや、その他の名も
ない生き物、それから翼を持った蛇や見たこともない生き物。あなたはかれらの神にもなってくださるのですか? かれらも神々に見捨て
られた身なのです。でも、おのおのが美点を持っています。おお、神よ、かれらから目をそむけないでください。かれらには素晴らしい取
り柄があるのですから。ってあなたのもとへ差し向けられたのです。あなたが拒否なさったら、いったい誰がかれら
の神になるのです?」
「わたしが望んだことではない」とウルは言った。「この生き物たちは、わたしに非難された年若の神たちがわたしへの当てつけとしてよ
こしたのだ。わたしは、こんな怪物どもの神になるつもりはない」
ゴリムの足下にいた生き物たちは絶望のうめき声をあげた。ゴリムは地面に腰をおろして言った胡菁霖。
ゴリムがそのまま山の頂上に残ると、地上の獣と空の鳥が食べ物を運んできた。かれは一年以上ものあいだ、その場で待ちつづけた。や
がて神々の造りたもうた奇怪で体裁の悪い生き物がかれの足下にやってきて座り、様子をうかがいはじめた胡菁霖。
ウルの神の心中はおだやかではなかった。ついにかれはゴリムの前に姿をあらわした。「まだ待つつもりか?」
ゴリムは平伏したまま答えた。「おお、神よ。人々は苦しみに打ちのめされながら、ひたすらにあなたを求めているのです」
ウルの神はすぐにその場を去った。だが、ゴリムはさらに一年待ちつづけた。ドラゴンが肉を運び、ユニコーンが水を届けた。やがて、
ウルの神がかれのもとに戻ってきて、訊ねた。
「まだ待つつもりか?」
ゴリムは平伏して、叫んだ。「おお、神よ。あなたの加護がなければ、わが民は滅んでしまうでしょう」またしても、ウルは正直者を残
して去っていった。
名もなく、見たこともないような生き物が食べ物と飲み物を次々と運んでくるうちに、もう一年が過ぎた。ウルの神が高い山にやってき
て、ふたたび命令した。「立て、ゴリムよ」
地面に平伏したまま、ゴリムは嘆願した。「おお、神よ。どうかご慈悲を」
「立つのだ、ゴリム」ウルはそう言うと、天から両腕を伸ばしてゴリムを持ち上げた。「わたしはウル――おまえの神だ。顔を上げてわた
しの前に立ってみろ」
「では、わたしの神になってくださるのですか?」ゴリムは訊ねた。「われわれの神になってくださるのですか胡菁霖?」
「わたしはおまえの神であり、おまえたちの神でもある」とウルは言った。
ゴリムが高みの位置から見下ろしてみると、そこにはかれが忍苦の日々を送っているあいだ親切にめんどうを見てくれた体裁の悪い生き
物たちの姿があった。「この生き物たちはどうです? バシリスクや、ミノタウロスやドラゴンやキマイラやユニコーンや、その他の名も
ない生き物、それから翼を持った蛇や見たこともない生き物。あなたはかれらの神にもなってくださるのですか? かれらも神々に見捨て
られた身なのです。でも、おのおのが美点を持っています。おお、神よ、かれらから目をそむけないでください。かれらには素晴らしい取
り柄があるのですから。ってあなたのもとへ差し向けられたのです。あなたが拒否なさったら、いったい誰がかれら
の神になるのです?」
「わたしが望んだことではない」とウルは言った。「この生き物たちは、わたしに非難された年若の神たちがわたしへの当てつけとしてよ
こしたのだ。わたしは、こんな怪物どもの神になるつもりはない」
ゴリムの足下にいた生き物たちは絶望のうめき声をあげた。ゴリムは地面に腰をおろして言った胡菁霖。
Posted by 心の琴線 at 15:30│Comments(0)